糖尿病と聞くと昔は中高年の方に多いイメージでしたが、今は若い方の患者さんも増えています。
糖尿病はそれ自体の症状は重いわけではありませんが、合併症になりやすく、合併症になると最悪足の感覚が麻痺したり細胞が壊死してしまうこともあります。
そんなちょっとこわい糖尿病に乳酸菌が効くという研究結果があるんです。
そこで糖尿病の症状や合併症、乳酸菌との関係性についてご紹介していきたいと思います。
糖尿病って何?
糖尿病とは、本来分泌されるはずのインスリンというホルモンがきちんと分泌されず、血糖値が高いままになってしまう病気です。
私たちが食事をして炭水化物を摂ると、ブドウ糖にまで分解され、小腸で吸収されて血液中のブドウ糖濃度が上がります。
このブドウ糖濃度のことを血糖値と言います。
血糖値が上がりっぱなしになると色々な弊害が出てきてしまうため、すい臓からインスリンというホルモンが出て血液中のブドウ糖とインスリンが結びつき、全身に運ばれてエネルギー源となります。
しかし糖尿病になるとすい臓が疲れてインスリンの分泌がうまくできなくなります。
そうすると血液中にずっとブドウ糖が残ったままになり血糖値が下がらなくなります。
血糖値が下がらないと
- 尿の量や回数が多くなる
- 喉が渇いて水分をたくさん欲する
- 体重が減る
- 疲れやすくなる
といった症状が出てきます。
糖尿病のこわい合併症
糖尿病だけだと上記の症状しか出ないので、気が付かないうちに糖尿病が進行してしまいます。
また、症状がほとんどないからといって治療を後回しにしていると、合併症を併発してしまうことがあります。
糖尿病性腎性
糖尿病によって腎臓の働きが悪くなると、血圧が上昇したり体が浮腫むといった症状が出ます。
さらに症状が進むと体に老廃物が溜まり生命に関わる病気になることがあります。
腎不全になってしまうと、人工透析を受ける必要も出てきます。
糖尿病性網膜症
血糖値が高いままでいることで、網膜の血管が障害され、視力低下や目のかすみが起き、最悪失明してしまいます。
糖尿病性神経障害
神経が障害されることで、手足がしびれたり痛みが走るようになります。
次第に手足の間隔が麻痺し、細胞が壊死してしまうこともあります。
脳梗塞
手足の麻痺や言葉が出てこなくなる、物忘れなどの症状が見られ、重篤な場合は生命に関わります。
乳酸菌で糖尿病を予防できる理由
そのような、最悪生命に関わる糖尿病ですが、乳酸菌を摂ることで糖尿病のリスクを下げることができるという研究結果があります。
マウスによる実験では、乳酸菌ラクトバシラスを糖尿病のラットに90日間投与したところ、インスリンの分泌量が25~33%増え血糖値が正常化したことが分かりました。
本来、炭水化物を摂り小腸からブドウ糖として吸収されると、小腸からGLP-1が分泌されインスリンの分泌を促します。
乳酸菌ラクトバシラスにはGLP-1の分泌を促す効果があるので、インスリンの分泌が促進されるとされています。
また、乳酸菌を摂り腸内環境が整うことで、血糖値が減少したという研究データもあります。
これはまだ実験段階なので、乳酸菌を摂れば必ずし糖尿病が治るというわけではありません。
しかしビフィズス菌SPという乳酸菌にも腎機能を改善する効果もあるため、乳酸菌を摂取することは糖尿病の治療に役立ちそうです。
現在はまだ栄養補助食品として使われている乳酸菌ですが、近い将来治療法に用いられる日がくるかもしれませんね。